トラックのバッテリー上がり|24V車の救援(ジャンプスタート)のしかたと注意、原因と防ぎ方
この記事のポイント
- JAFの出動理由でいちばん多いのはバッテリー上がり。2025年度の一般道路(四輪)では「過放電バッテリー」が約77万件(35.73%)で1位でした。
- 多くのトラックは12Vのバッテリーを2個つないだ24V。救援は同じ電圧(24V)の車か、24Vに対応したジャンプスターターで。12Vの乗用車とはつなぎません。
- かかったあとは充電が足りないまま。すぐ上がる、充電の警告灯が点くときは、バッテリーの寿命やオルタネーターの異常を疑います。
朝、キーを回してもセルが弱々しく回るだけ、あるいはカチカチと音がするだけでエンジンがかからない。トラックのバッテリー上がりは、配送の予定をまるごと止めてしまう困ったトラブルです。しかも寒くなる冬に増えます。この記事では、JAFのデータとバッテリーメーカーの案内をもとに、24Vのトラックを救援するときの手順と注意、かかったあとにすること、バッテリー以外の原因、ふだんの防ぎ方をまとめました。
バッテリー上がりはどのくらい起きているか
JAFが公表している2025年度(2025年4月〜2026年3月)のロードサービスの出動理由では、バッテリーのトラブルが飛び抜けて多くなっています。
| 一般道路(四輪)の出動理由 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 過放電バッテリー(バッテリー上がり) | 769,024件 | 35.73% |
| 2位 タイヤのパンク・バースト・空気圧不足 | 442,300件 | 20.55% |
| 3位 劣化・破損バッテリー | 195,717件 | 9.09% |
「過放電」と「劣化・破損」を合わせると、四輪・二輪の合計で約100万件(43.17%)。ロードサービスの出動の4割以上がバッテリーです。乗用車も含めた数字ですが、トラックも事情は同じです。
過放電とは、使った電気に充電が追いつかず、バッテリーの中の電気が足りなくなった状態のこと。ライトの消し忘れのような「うっかり」だけでなく、長く停めたままにしていた、短い距離しか走らず充電が足りなかった、寒さでバッテリーの力が落ちた、といったことでも起きます。
トラックの24Vのしくみ
乗用車は12Vのバッテリー1個ですが、多くのトラック・バスは12Vのバッテリーを2個「直列」につないで24Vにしています。大きなディーゼルエンジンを回すセルモーターに、大きな力が必要だからです。
- 2個のバッテリーは、1個目の+と2個目の-が渡り線でつながっています。
- 残った端子のうち、一方の+から24Vの電気がセルモーターや車の配線へ、もう一方の-が車体(アース)へつながっています。
- バッテリーの置き場所は、荷台の下やシャシーの横のバッテリーボックスなど、車種によって違います。
このつくりのため、救援するときはつなぐ端子を間違えないことが大切です。2個をつないでいる渡り線の端子にケーブルをつないでも、24Vにはなりません。
24V車の救援(ジャンプスタート)のしかた
用意するもの
- 救援車:バッテリーが上がった車と同じ電圧(24V)で、同じくらいの容量の車。小型の車で大型車を救援しようとしても、力が足りないことがあります。
- ブースターケーブル:24Vに対応し、バッテリーの大きさに合った太さ・長さのもの。被覆の傷みや断線、クリップの破損がないか、先に確かめます。
- 救援車がいないときは、24Vに対応したジャンプスターター(携帯用の始動用電源)を使う方法もあります。対応する電圧と使い方は、製品の説明書を確かめてください。
12Vの乗用車とは、どちら向きでもつないではいけません。12Vでは24Vのトラックを動かせず、24Vを12Vの車につなぐと電装品を傷めるおそれがあります。
つなぐ順番
救援車のエンジンを止め、両方の車のキーを切ってから、次の順につなぎます。
- 赤いケーブルを、上がった車の+端子(24Vが出ている側。2個をつなぐ渡り線の端子ではない)につなぐ
- 赤いケーブルのもう一方を、救援車の+端子(同じく24Vが出ている側)につなぐ
- 黒いケーブルを、救援車の-端子(車体につながっている側)につなぐ
- 黒いケーブルのもう一方を、上がった車のエンジン本体のフックなど、バッテリーから離れた、塗装されていない固定された金属部につなぐ
最後の4番目をバッテリーから離すのは、つないだ瞬間の火花が、バッテリーから出る可燃性のガスに引火しないようにするためです。2個のバッテリーのどの端子につなぐかは、車種によって違います。バッテリーメーカーも、バッテリーを2個使う車は必ずその車の取扱説明書に従うよう案内しています。取扱説明書の図で、つなぐ位置を確かめてください。
エンジンをかけて、ケーブルを外す
- 救援車のエンジンをかけ、少し回転を上げて数分回し、上がった車のバッテリーに電気を送ります。
- 上がった車のエンジンをかけます。
- かかったら、つないだときと逆の順番(4→3→2→1)でケーブルを外します。
作業するときの注意
- 保護めがねをかけます。バッテリー液は強い酸性で、目や肌に付いたらすぐに大量の水で洗い、医師の診察を受けてください。
- +と-のクリップどうしを触れさせない、+のクリップを周りの金属に当てない(ショートや火花の原因)。バッテリーのそばで火気・たばこは厳禁です。
- ケーブルが冷却ファンやベルトに巻き込まれないよう、たるみを固定します。ケーブルを引っ張った状態で使わないこと。
- ケーブルから煙が出たら、すぐに両方のエンジンを止め、エンジンなど金属部につないだ-のクリップから外します。
手順に自信がないとき、バッテリーが膨らんでいる・液がもれているときは、無理をせずロードサービスや整備工場を呼んでください。
バッテリーまわりの部品、お探しします
車検証の写真(または車台番号)と、困っていること(すぐ上がる・セルが回らないなど)を教えてください。お使いの車に合うバッテリーや電装部品をお調べします。
エンジンがかかったあとにすること
ブースターケーブルでかかっても、それは応急処置です。バッテリーの充電は足りないままなので、次のことをしてください。
- しっかり充電する。バッテリーメーカー(パナソニック)は、専用の充電器で充電するか、2時間以上走って充電するよう勧めています。かかってすぐにエンジンを止めると、またかからなくなることがあります。
- 上がった原因を確かめる。ライトや室内灯の消し忘れなど、はっきりした理由があれば、充電すれば元に戻ることが多いです。理由が思い当たらないときは、バッテリーが弱っているか、充電の系統に異常があるかもしれません。
- 整備工場でバッテリーを測ってもらう。一度深く放電したバッテリーは弱っていることがあります。2個とも状態を測ってもらい、交換が必要なら2個まとめて交換します(交換の目安はトラックでよく交換する部品の記事にまとめています)。
バッテリー以外が原因のとき
「バッテリー上がり」だと思っても、ほかの部品が原因のことがあります。次のようなときは、バッテリーを替えても直らないかもしれません。
| こんなとき | 考えられる原因 |
|---|---|
| 新しいバッテリーなのに、すぐ上がる/走っているのに充電の警告灯が点く | オルタネーター(発電機)やそのベルトの不具合で、走っても充電されていない |
| ライトやメーターは明るいのに、セルが回らない/カチッと音がするだけ | セルモーター(スターター)やその配線の不具合 |
| 端子のまわりに白や青の粉が付いている/端子がぐらつく | 端子の腐食や緩みで電気がうまく流れていない |
| 何日か停めておくと、いつも上がる | 停めている間に電気を使う機器(後付けの装備など)や、配線の漏電 |
オルタネーターやセルモーターは、トラックでもよく交換する部品です。新品のほか、手ごろなリビルト品(中古の部品を分解・整備して再生したもの)を選ぶこともできます。
バッテリー上がりを防ぐには
- 降りる前に消し忘れを確かめる。ヘッドライト、室内灯、荷台の作業灯など。
- エンジンを止めたまま電気を使いすぎない。エンジンを止めてのパワーゲートの使いすぎや、車内の電気製品の長時間の使用は、バッテリーを大きく減らします。
- 長く停めるときは気をつける。エンジンを止めていても、時計や記録計などがわずかに電気を使っています。長く動かさない車は、ときどきエンジンをかけて走らせるか、充電器で補充電します。
- 冬の前に点検する。寒いとバッテリーの力が落ち、エンジンをかけるのにより大きな電気が要ります。検索も1月がいちばん多くなります。弱り始めたバッテリーは、冬の朝に一気に上がりがちです。
- ふだんの点検で見る。バッテリー液の量(液を足すタイプ)、端子の緩みや腐食、ケースの膨らみやひび。定期点検ではバッテリーの状態を測ってもらいましょう。
トラックヒーローを運営する小林商会は、バス・トラック部品の専門商社です。品番がわからなくても、車検証の写真(または車台番号)があれば、お使いの車に合うバッテリーやオルタネーター、セルモーターなどの部品をお調べします。
参考にした資料
- JAF「よくあるロードサービス出動理由」(2025年度) https://jaf.or.jp/common/about-road-service/frequency
- パナソニック「ブースターケーブルの使い方」 https://panasonic.jp/car/battery/support/cable.html
- トヨタ自動車 取扱説明書「バッテリーがあがったときは」(乗用車の手順の例) https://manual.toyota.jp/voxy/2404/cv/ja_JP/contents/vhch07se020410.php
よくある質問
- Q. 乗用車(12V)からトラック(24V)を救援できますか?
- A. できません。救援車は、バッテリーが上がった車と同じ電圧(12Vか24V)で、同じくらいの容量の車にします。24Vのトラックは、24Vのトラック・バスか、24Vに対応したジャンプスターター(携帯用の始動用電源)で救援します。
- Q. トラックで乗用車のバッテリー上がりを救援してもいいですか?
- A. 24Vのトラックで12Vの乗用車を救援してはいけません。電圧が違う車どうしをつなぐと、電装品を傷めるおそれがあります。乗用車は12Vの車で救援してください。
- Q. エンジンがかかったら、どのくらい走ればいいですか?
- A. ブースターケーブルでの始動は応急処置で、バッテリーの充電は足りないままです。パナソニックの案内では、専用の充電器で充電するか、2時間以上走って充電するよう勧めています。かかった直後にエンジンを止めると、またかからなくなることがあります。
- Q. 何度もバッテリーが上がるのはなぜですか?
- A. バッテリーそのものが弱っているか、走っている間に充電するオルタネーター(発電機)や配線に異常があることが考えられます。新しいバッテリーなのにすぐ上がる、充電の警告灯が点くといったときは、整備工場で充電の系統も点検してもらってください。
- Q. 24Vのトラックのバッテリーは1個だけ交換してもいいですか?
- A. 24Vの車は12Vのバッテリーを2個つないで使っています。古い方と新しい方を混ぜると、弱った方に引っ張られてもう片方に負担がかかるため、2個まとめて交換するのが一般的です。
バッテリー、オルタネーター、セルモーターもお探しします
バッテリーがすぐ上がる、充電の警告灯が点く、セルが回らないなど、交換が必要な電装部品を、車検証の写真(または車台番号)からお使いの車に合うものをお調べしてご連絡します。
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