DPFの再生とは?自動再生・手動再生のやり方と時間、警告灯が点滅したときの対処
この記事のポイント
- DPFの「再生」とは、フィルターにたまったすすを燃やして取り除くことです。走りながら車が自動で行う「自動再生」と、止めてスイッチを押す「手動再生」があります。
- 警告灯(インジケーター)が点滅したら手動再生の合図です。安全な場所に止め、手順どおりに行えば15〜20分ほどで終わります(車種によって違います)。
- 再生しても直らない・すぐまた点くときは、灰(アッシュ)や故障が原因のことがあります。整備工場での点検や洗浄が必要です。
「DPFのランプが点滅しはじめた」「手動再生ってどうやるの?」「何分くらいかかる?」——DPF付きのディーゼルトラックに乗っていると、必ず出てくるのが「再生」です。この記事では、国土交通省とトラックメーカー各社がまとめた資料をもとに、自動再生と手動再生の違い、警告灯が点いたときの対処、手動再生のやり方と時間、再生がうまくいかないときの考え方をまとめました。
手順や時間は年式・車種によって違います。この記事はメーカー各社の資料(主に2010年前後の排出ガス規制に適合した車)をもとにした一般的な説明です。実際の操作は、必ずお使いの車の取扱説明書で確認してください。
DPFの再生とは
DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)は、排気ガスに含まれる黒いすす(PM、粒子状物質)をフィルターで集める装置です。集めたすすがたまったままだとフィルターが詰まるため、排気の温度を上げてすすを燃やし、フィルターを元の状態に戻します。これを「再生」といいます。メーカーによっては「クリーニング」とも呼びます。
装置の呼び方もメーカーで違います。
| メーカー | 装置の呼び方 | 再生の呼び方 |
|---|---|---|
| いすゞ | DPD | 自動再生・手動再生 |
| 日野 | DPR | 自動クリーニング・手動クリーニング |
| 三菱ふそう | DPF(再生制御式DPF) | 自動クリーニング(再生)・手動クリーニング(再生) |
| UDトラックス | UDPC | 自動クリーニング・手動クリーニング |
なお、再生で燃やせるのは「すす」だけです。エンジンオイルが燃えてできる灰(アッシュ)は燃えずに残るため、長く使うと定期的な点検や洗浄が必要になります。洗浄の方法や費用はトラックのDPF洗浄と詰まり対策で解説しています。
自動再生のしくみと、再生中に起きること
フィルターにすすが一定量たまると、車が自動で排気の温度を上げてすすを燃やします。これが自動再生です。ふだんの走行中に行われ、運転手が操作する必要はありません。いすゞのように、自動再生中に緑の表示灯が点いて知らせる車もあります。
自動再生中は、次のようなことが起きることがあります。メーカーの資料では、どれも故障ではないとされています。
- 信号待ちなどでアイドリングになったとき、エンジンの音や回転数が変わる。排気ブレーキ(エキゾーストブレーキ)が作動する。
- 白い煙が出る(水蒸気。排気の温度が上がれば消える)。
- 排気のにおいがこれまでのディーゼル車と違う(触媒で浄化しているため)。
いすゞの資料では、自動再生はエンジンを止めると中断されるため、できるだけ表示灯が消えるまでエンジンを切らないほうが効率よく再生できる、としています。
ただし、ゆっくり走る・止まる・短い距離をくり返すといった使い方では、排気の温度が十分に上がらず、自動再生が最後まで終わらないことがあります。そのときに出るのが、手動再生をうながす警告灯の点滅です。
警告灯が点滅したら(メーカーごとの目安)
DPFのインジケーター(警告灯)が点滅したら、手動再生が必要です。すぐに止めなければいけないわけではなく、多くの車では「この距離のうちに」という目安があります。
| メーカー(資料の対象) | 点滅したら | 手動再生の時間の目安 |
|---|---|---|
| いすゞ(エルフ・フォワード) | 運行が終わったときなど、駐車するときに手動再生。速い点滅(1秒に約3回)に変わったら、ただちに安全な場所に止めて再生 | 通常15〜20分程度 |
| 日野(中型車) | 150km走るうちに手動クリーニング | 15〜20分 |
| 三菱ふそう(小型・中型トラック) | 50km走るうち(PTO作業なら約1時間のうち)に手動クリーニング | 約10〜25分 |
| UDトラックス(大型・中型車) | すみやかに(目安は200km走るうち)手動クリーニング | ― |
表は国土交通省に掲載されているメーカー各社の資料によります。新しい年式の車では表示や操作が違うことがあります。
点滅したまま走り続けると、すすがたまりすぎて、チェックエンジンランプ(エンジンの警告灯)が点き、エンジンの出力が制限されます。国土交通省とメーカーの共同資料では、インジケーターが点灯したまま使い続けると、大幅な出力低下やエンジンの自動停止が起こると注意しています。チェックエンジンランプやウォーニングランプが点いたら、手動再生ではなく、すぐに販売会社・整備工場に連絡してください。
DPFの詰まり・警告灯、まずはご相談ください
症状と車種を教えてください。洗浄・交換のご案内や、詰まりを防ぐ方法をご提案します。
手動再生のやり方
手動再生(手動クリーニング)の流れは、どのメーカーもほぼ同じです。
- 安全な場所に止める。排気口のまわりに枯れ草や紙くずなど燃えやすいものがないか確かめます。排気管はとても熱くなります。風通しのよい屋外で行い、換気の悪い場所では行わないでください(一酸化炭素中毒のおそれ)。
- パーキングブレーキを確実にかけ、シフトレバーをN(AT車はP)にする。
- エンジンをアイドリングにする。アクセルやクラッチを踏まず、アイドリングの回転を上げる装置を使っている場合は戻します。アイドリングストップは働かないようにし、PTO装備車はPTOのスイッチを切ります。水温が低いときは暖機運転をします。
- DPF(DPD・DPR)のスイッチを押す。警告灯が点滅から点灯に変わり、アイドリングの回転が上がって再生が始まります(排気ブレーキが作動する車もあります)。
- 終わるまで待つ。車から離れず、車を動かさないでください。動かすと再生が中断します。
- 警告灯が消えたら終わり。アイドリングの回転が元に戻ります。そのまま通常どおり走れます。
再生の時間は、すすのたまり方や気温によって変わります。いすゞの資料では、エンジンが温まっているときのほうが短く済むとしています。
途中でやめたいとき
やむをえず中断するときは、いすゞはDPDスイッチをもう一度押す、UDトラックスは排出ガス浄化装置スイッチのCANCEL側を押す方法が案内されています。UDトラックスの資料では、ギアを入れるなどして中断したときは、いったんエンジンを止めてキーを10秒以上OFFにしてから再始動するよう書かれています。どの車でも、再生は終わっていないので、できるだけ早く最後まで再生してください。
運行中の手動再生を避けるには
配送の途中で15〜20分止まるのは大変です。国土交通省とメーカーの共同資料では、運行が終わって車庫に戻ったときにインジケーターですすのたまり具合を確かめ、場合によっては手動再生をしておくことをすすめています。いすゞでは、すすがある程度たまっていれば、点滅していなくても手動再生ができる車があります(任意手動再生)。三菱ふそうも、走行中の手動再生を避けたい場合やPTO作業が多い場合は、出庫前に再生しておくよう案内しています。
再生が終わらない・すぐまた点くとき
手動再生をしてもすぐまた点滅する、再生が最後まで終わらない、といったときは、すす以外の原因が考えられます。
| 考えられる原因 | 内容 | 対処 |
|---|---|---|
| 灰(アッシュ)がたまっている | 再生では燃えない灰がフィルターに残り、詰まりやすくなっている | 整備工場で点検。DPFの洗浄や交換 |
| 指定外のオイル・燃料 | DPF対応でないオイルは灰がたまりやすい。低硫黄軽油以外の燃料は装置の故障の原因に | メーカー指定のオイル(DH-2規格など)と低硫黄軽油を使う |
| すすが多く出ている | インジェクターの汚れなどで燃え方が悪く、すすがたまる速さが増えている | 燃料系の点検・洗浄(インジェクターの汚れ) |
| センサーなどの故障 | すすの量や排気の温度を測るセンサー、関連する部品の不具合 | 整備工場で故障の記録(故障コード)を読んで点検 |
チェックエンジンランプが点いているときや、故障の記録が残っているときは、整備工場の診断機を使った再生(強制再生)もできないことがあります。早めに整備工場に相談してください。
再生の回数を減らす使い方
UDトラックスの資料では、次のような使い方だと自動再生が働かないことがあり、手動再生をうながす点滅が多くなるとしています。
- 低い速度での走行が中心
- エンジンをかけたり止めたりすることが多い
- 短い距離の走行をくり返す
- エンジンが温まる前にエンジンを止めることが多い
配送の仕事では避けにくい使い方ですが、次のことを心がけると、再生の回数や詰まりを減らせます。
- 自動再生中は、できるだけエンジンを止めない。
- 点滅したら先延ばしにせず手動再生をする。運行後に車庫で再生しておく。
- メーカー指定のDPF対応オイル(DH-2規格など)と低硫黄軽油を使う。
- 燃料系(インジェクター・燃料フィルター)やエアクリーナーを整備して、すすの出る量を抑える。
- 定期点検でDPFの状態(灰のたまり具合)を見てもらう。
再生の回数が増えたときのメンテナンス用品
トラックヒーローを運営する小林商会では、自社ブランド「ディーゼルエイド」のDPF向けメンテナンス用品を扱っています。
- DPクリーンシステム:取り外したDPマフラー(DPF)を、専用の洗浄機と洗浄剤で洗うシステムです。「自動再生や強制再生の回数が増えた」「強制再生しても直らない」といったときのDPマフラーの洗浄に。
- デュアルクリーナー(500mL・1000mL):燃料に入れて走るだけで、インジェクターとDPマフラーの両方の汚れを落とすことを目的にした洗浄剤です。メーカーは、自動再生の間隔が長くなること、強制再生の回数が減ること、再生の時間が短くなることを特長にあげています。DPFを外す時間や人手がないときに。
効き目は車の状態によって違います。どれが合うかわからないとき、DPFの洗浄や部品のことは、お気軽にご相談ください。
参考にした資料
- 国土交通省・トラックメーカー4社・全日本トラック協会「DPFなど後処理装置付き車の正しい使用のお願い」 https://www.mlit.go.jp/common/000233457.pdf
- いすゞ自動車「DPDの取扱い方法について」 https://www.mlit.go.jp/common/000233892.pdf
- 日野自動車「DPR(排出ガス浄化装置)」 https://www.mlit.go.jp/common/000233893.pdf
- 三菱ふそうトラック・バス「再生制御式DPFの取り扱いについて」 https://www.mlit.go.jp/common/000233894.pdf
- UDトラックス「UDPC及び尿素SCRシステムの正しい取扱方法」 https://www.mlit.go.jp/common/000233895.pdf
- 小林商会 製品資料(DPクリーンシステム・デュアルクリーナー) https://kobayashishoukai.co.jp/maintenance/
よくある質問
- Q. DPFの手動再生にはどのくらい時間がかかりますか?
- A. メーカーの資料では、いすゞ(エルフ・フォワード)と日野の中型車で通常15〜20分程度、三菱ふそうの小型・中型トラックで約10〜25分とされています。すすのたまり方や気温、エンジンが温まっているかどうかで変わります。お使いの車の取扱説明書で確認してください。
- Q. 手動再生の途中でやめてもよいですか?
- A. やむをえないときは中断できます。いすゞはDPDスイッチをもう一度押す、UDトラックスは排出ガス浄化装置スイッチのCANCEL側を押す方法が案内されています。再生は終わっていないので、できるだけ早く停車して、もう一度最後まで再生してください。
- Q. 再生中に白い煙が出たり、においが変わったりするのは故障ですか?
- A. メーカーの資料では、白い煙は水蒸気が出るためで、排気の温度が上がれば自然に消えるとされています。においが変わるのも、触媒を通して排気を浄化しているためで、故障ではありません。白い煙が出続けるときは、指定外の燃料を使っていないか確認し、整備工場で点検を受けてください。
- Q. 警告灯が点滅したまま走り続けるとどうなりますか?
- A. すすがたまり続け、チェックエンジンランプ(エンジンの警告灯)が点き、エンジンの出力が制限されます。さらに続けると、DPFの故障やエンジンの自動停止につながることがあります。点滅したら、メーカーが示す距離のうちに手動再生を行ってください。
- Q. 手動再生をしてもすぐまた警告灯が点きます。
- A. エンジンオイルの燃えカス(灰)がたまっている、センサーなどが故障している、燃料の燃え方が悪くすすが多く出ている、といった原因が考えられます。手動再生では灰は取り除けないため、整備工場で点検を受け、必要ならDPFの洗浄を検討してください。
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