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トラックのアドブルー(尿素水)の補充|なくなるとどうなる?警告と再始動できないときの対処、保管の注意

公開日 ・トラックヒーロー編集部(運営:有限会社小林商会)

アドブルー(尿素水)の残量が減ってから空になり、再始動できなくなるまでの流れと補充の注意

この記事のポイント

  • アドブルー(尿素水)は、排ガスの窒素酸化物(NOx)を減らす尿素SCRに使う液体。タンクが空になると走れず、エンジンを止めると再始動できなくなります。
  • 残量の警告が出たら早めに補充。補充後の再始動には手順があり、いすゞの大型車では5L以上入れてから。
  • 使うのはメーカー指定(JIS・ISO規格)の尿素水だけ。薄めない、ほかの液体を入れない。保管は密閉して日陰で、-11℃で凍るので冬は注意。

最近のディーゼルトラックの多くは、排出ガスをきれいにするために「尿素SCR」という装置を積んでいて、そのために「アドブルー」と呼ばれる尿素水を補充しながら走ります。燃料と違って毎日は減らないので、つい補充を忘れがちですが、空にすると、エンジンを止めたあと再始動できなくなることがあります。この記事では、国土交通省とトラックメーカー4社・全日本トラック協会が出しているお願いと、メーカーの取扱いの案内をもとに、アドブルーがなくなったときに起きること、補充と再始動の手順、保管の注意をまとめました。

アドブルー(尿素水)とは

尿素SCR(尿素選択還元触媒)は、排気管に尿素水を噴射し、排気の熱でできたアンモニアの働きで、排ガスの中の窒素酸化物(NOx)を窒素と水に分解する装置です。そこで使う尿素水が、一般に「アドブルー(AdBlue®)」と呼ばれています。

  • 尿素水は、NOxを減らすための触媒の添加剤です。燃料ではありませんが、なくなると車を動かせなくなります。
  • 無色透明・無臭で、化粧品にも使われる安全性の高い物質です。扱うのに資格は要りません(UDトラックスの案内)。手に付いたら水で洗い流します。
  • 「AdBlue」はドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。メーカーによって「尿素水」「AdBlue相当」などと呼び方が違います。

なお、すすをためて燃やすDPF(いすゞはDPD、日野はDPR、UDはUDPC)は別の装置です。DPFの再生についてはDPFの再生の記事にまとめています。

なくなるとどうなるか(警告と再始動)

国土交通省とメーカー4社の案内では、尿素水のタンクが空の状態では走行できない、排出ガスが悪化するだけでなく、エンジンの再始動ができなくなるとしています。いきなり止まるわけではなく、メーターの表示や警告で段階的に知らせます。

警告(呼び方は車で違う)どんなときに出るかすること
残量の警告尿素水の残りが少なくなったとき早めに補充する
再始動できない警告補充しないまま走り続けて空になったときエンジンを止めると再始動できない。止める前に補充する
品質の警告指定以外の液体が入った、水などで薄められたときそのまま走ると再始動できなくなる。販売会社へ
噴射・添加装置の警告尿素水を噴射する装置に異常があるときただちに整備工場へ

例えば、いすゞの大型車(ギガ)では、残量の表示が1段階になると「尿素水補給警告」が出て、補給しないまま走り続けると「再始動禁止中警告」に変わり、警報音が鳴り続けます。この警告が出たらエンジンを止めると再始動できません。UDトラックスの大型車も、タンクが空になった状態でエンジンを止めると再始動できなくなると案内しています。

配送先や高速道路のサービスエリアでエンジンを止めた途端に動けなくなる、ということにならないよう、残量の警告が出たらその日のうちに補充するのが安心です。

尿素SCRの警告が消えない、部品をお探しします

補充しても警告が消えない、タンクやキャップが傷んでいるなど、交換が必要な部品を車検証の写真(または車台番号)からお調べします。

補充のしかたと再始動の手順

補充するとき

  1. 平らな場所に停め、エンジンを止めます。
  2. 尿素水の補給口を確かめます。軽油の給油口とは別です。車によって位置が違うので、取扱説明書で確かめてから入れます。
  3. メーカー指定の尿素水を、清潔な専用の容器やノズルで入れます。入れすぎてあふれさせないようにします。
  4. こぼしたら水で洗い流します。乾くと白い結晶が残ります。

尿素水は、トラックの販売会社、トラックステーションなどの給油所、カー用品店などで手に入ります。事業所でまとめて補充する場合は、20Lの箱入りや200Lのドラムもあります(三菱ふそうの純正品は5L・10L・20Lの箱と、事業所向けの200Lドラム)。

空にして再始動できなくなったとき

警告が出たままエンジンを止めてしまった場合は、尿素水を補充してから、決められた手順で再始動します。いすゞの大型車(ギガ)の手順は次のとおりです。

  1. スタータースイッチをLOCKにして、尿素水を5L以上補給します。
  2. スタータースイッチをLOCKからONにして、メーター内の表示が消え、警報音が鳴りやむのを待ちます。
  3. 表示と警報音が消えないときは、LOCKに戻してさらに補給し、2からやり直します。
  4. エンジンをかけます。

UDトラックスの大型車では、指定の尿素水を補給し、キーをONにしたときに尿素水の警告ランプなどが消えれば再始動できるとしています。補給する量や手順は車によって違うので、必ずお使いの車の取扱説明書で確かめてください。

入れてはいけないもの・やってはいけないこと

  • 水で薄めない。品質の警告が出て、そのまま走ると再始動できなくなります。
  • 規格に合わない尿素水を使わない。メーカーはJIS規格またはISO規格に合ったものを指定しています。三菱ふそうは、規格外の尿素水が原因で装置が故障した場合は保証の対象外としています。指定以外の尿素水を入れると、NOxの浄化率の低下やフィルターの詰まり、寒いときの凍結による警告などが起きるおそれがあります。
  • 尿素水のタンクに軽油・ガソリン・灯油などを入れない。反対に、軽油のタンクに尿素水を入れない。間違えたら、エンジンをかけずに販売会社や整備工場に連絡してください。
  • 汚れた容器や、ほかで使った容器を使わない。ゴミや異物が入ると、尿素水を噴射する装置の故障の原因になります。
  • 低硫黄軽油を使う。尿素SCRやDPFの付いた車は、硫黄分の少ない軽油(10ppm以下)が前提です。それ以外の燃料は、後処理装置の故障やエンジン停止の原因になります。

保管と冬の凍結

  • 容器は密閉し、直射日光を避けて、屋根のある風通しのよい場所に保管します。水分が蒸発しないよう、しっかり栓をします。
  • 軽油やガソリンなど危険物を置く場所とは分けます(三菱ふそうの案内)。
  • 指定の容器以外の金属製の容器に入れて保管しないこと。尿素水が劣化する原因になります。
  • 尿素水は-11℃で凍ります。寒冷地では保管中の凍結に気をつけてください。凍っても、解けたあとは品質が変わらないので、そのまま使えます(UDトラックスの案内)。

車の尿素水タンクの凍結や、凍結に関する警告の扱いは車によって違います。警告が出たときは、取扱説明書に従ってください。

補充しても警告が消えないとき

指定の尿素水を入れても警告が消えない、何度も噴射・添加装置の警告が出る、というときは、尿素SCRの装置そのものに異常があるかもしれません。国土交通省に届け出られたリコールでも、尿素水タンクの配線のコネクターに雨水が入って腐食し、装置が働かなくなった例(UDトラックス、2024年)などがあります。

  • 警告が点いたまま走り続けない(排出ガスが悪化し、装置が故障するおそれがあります)
  • 販売会社や整備工場で点検を受ける
  • リコールの対象になっていないか、メーカーのサイトや販売会社で確かめる

トラックヒーローを運営する小林商会は、バス・トラック部品の専門商社です。品番がわからなくても、車検証の写真(または車台番号)があれば、尿素水タンクのキャップやセンサーなど、尿素SCRのまわりの部品をお調べします。

参考にした資料

  • 国土交通省・いすゞ自動車・日野自動車・三菱ふそうトラック・バス・UDトラックス・全日本トラック協会「DPF(黒煙除去フィルタ)など後処理装置付き車の正しい使用のお願い」 https://www.mlit.go.jp/common/000233457.pdf
  • いすゞ自動車「尿素SCRシステムの取扱い方法について」(国土交通省 掲載) https://www.mlit.go.jp/common/000233892.pdf
  • UDトラックス「UDPC及び尿素SCRシステムの正しい取扱方法」(国土交通省 掲載) https://www.mlit.go.jp/common/000233895.pdf
  • 三菱ふそうトラック・バス「三菱ふそう純正アドブルー」 https://assets.mitsubishi-fuso.com/fusoassets/2020/03/AbBlue_A4_WEB.pdf
  • UDトラックス「排出ガス後処理装置(AdBlue®タンク延長ハーネス)のリコールについて」(リコール番号5468) https://www.udtrucks.com/sites/default/files/2024-05/KR564%20Adblue%20HP.pdf

よくある質問

Q. アドブルーがなくなるとどうなりますか?
A. 尿素水のタンクが空の状態では走行できません。国土交通省とトラックメーカー4社の案内では、排出ガスが悪化するだけでなく、エンジンの再始動ができなくなるとしています。警告が出たまま走り続けてエンジンを止めると、補充するまでエンジンがかからなくなる車が多いので、残量が少なくなったら早めに補充してください。
Q. アドブルーを入れたのにエンジンがかからないときは?
A. 車によって再始動の手順が決まっています。例えば、いすゞの大型車(ギガ)では、スタータースイッチをLOCKにして尿素水を5L以上補給し、ONにして表示と警報音が消えるのを待ってからエンジンをかけます。消えないときはさらに補給して繰り返します。お使いの車の取扱説明書で手順を確かめてください。
Q. 水で薄めたり、ほかの尿素水を入れてもいいですか?
A. いけません。メーカー指定の尿素水(JIS規格またはISO規格に合ったもの)を使います。薄めたり、指定以外の液体を入れたりすると、品質の警告が出て、尿素水を噴射する装置の故障の原因になります。三菱ふそうは、規格外の尿素水が原因の故障は保証の対象外としています。
Q. アドブルーは凍りますか?
A. 凍ります。三菱ふそうの案内では凍結温度は-11℃で、寒冷地では保管するときの凍結に注意するよう呼びかけています。UDトラックスの案内では、凍結しても解凍後の品質は変わらないので、そのまま使えるとしています。
Q. アドブルーを軽油のタンクに入れてしまったら?
A. エンジンをかけずに、販売会社や整備工場に連絡してください。逆に、尿素水のタンクに軽油やガソリン・灯油などが入った場合も、品質の警告が出て、そのまま走ると尿素SCRの装置が故障します。補給口の位置は、取扱説明書で確かめてから入れてください。

尿素SCRのまわりの部品もお探しします

尿素水タンクのキャップやセンサー、配線など、尿素SCRのまわりで交換が必要な部品を、車検証の写真(または車台番号)からお使いの車に合うものをお調べしてご連絡します。

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