軽油の凍結|凍る温度(特1号〜特3号)と寒冷地での給油のしかた、凍ったときの対処
この記事のポイント
- 軽油はJISで5種類。凍結温度の目安は特1号+5℃・1号-2.5℃・2号-7.5℃・3号-20℃・特3号-30℃。ふつうの地域の軽油は-5℃程度で凍り始めます。
- 寒冷地へ行くときは、満タンで行かず、現地で早めに給油してタンクの中を寒冷地用(3号・特3号)に替えます。フェリーも同じです。
- 凍ってエンジンがかからなくなったら、無理をせずJAFや整備工場へ。冬の前に燃料フィルターの交換時期も確かめておきましょう。
「軽油が凍る」と聞くと意外に思うかもしれませんが、寒い日の朝にディーゼル車のエンジンがかからなくなる原因のひとつです。特に、暖かい地域で給油したトラックが、冬の山間地や北日本へ向かったときに起きやすくなります。この記事では、日野自動車の整備情報、JAF、石油連盟の資料をもとに、軽油の種類ごとの凍る温度、寒冷地へ行くときの給油のしかた、凍ってしまったときの対処をまとめました。
軽油が凍るとどうなるか
軽油は、気温が下がると中の成分(ろうのような成分)が固まり始め、シャーベット状になって流れにくくなります。JAFによると、軽油が凍結すると流動性を失い、燃料系統が詰まって、エンジンの不調やエンジンがかからない状態になります。走っている途中なら、出力が出なくなることもあります。
寒冷地で長い時間停めていたあとにエンジンの調子が悪いときは、軽油が凍っている可能性があります。
軽油の種類と凍る温度
軽油は、凍る温度の違いで、JIS(日本産業規格)により5種類に分けられています。日野の整備情報が示す凍結温度の目安は次のとおりです。
| 軽油の種類 | 凍結温度の目安 |
|---|---|
| 特1号 | +5℃以下 |
| 1号 | -2.5℃以下 |
| 2号 | -7.5℃以下 |
| 3号 | -20℃以下 |
| 特3号 | -30℃以下 |
ガソリンスタンドでは、地域や季節に合わせて、低い温度での流れやすさが違う軽油が売られています(石油連盟)。寒い地域では冬に3号や特3号が売られ、それ以外の地域では主に特1号〜2号が売られています。JAFによると、寒冷地以外で売られている特1号〜2号の軽油は-5℃程度で凍結し始めます。
つまり、暖かい地域で入れた軽油のまま冬の寒冷地へ行くと、その土地の寒さに耐えられないことがある、ということです。石油連盟も、寒い時期に暖かい地域から寒冷地へ移動した場合、現地で売られている軽油を給油しないと、エンジンが止まるなどのトラブルが起きる可能性があるとしています。
寒冷地へ行くときの給油のしかた
日野は、冬に山間地や寒冷地へ向かうときの給油について、次のように案内しています。
- できるだけ早い段階で、現地のガソリンスタンドで給油する。タンクの中の燃料を、3号または特3号軽油に替えるようにします。
- 暖かい地域の軽油を多く残したまま行かない。タンクに特1号・1号・2号が多く残っていると、3号・特3号を入れても、表の目安より高い温度で凍ることがあります。出発前に満タンにするのは逆効果です。
- フェリーで行くときは、乗船前に燃料の残りを最低限にしておき、現地に着いてから3号または特3号を給油する。
- 給油のときは、給油口からゴミや水が入らないようにする。燃料タンクのキャップは決められた位置まで確実に締めます。
長距離の運行で、出発地は暖かくても目的地や途中の峠が氷点下になる、という場合も同じです。運行の計画を立てるときに、どこで給油するかも決めておくと安心です。
また、凍りにくくしようとして、軽油に灯油などほかの燃料を混ぜるのはやめましょう。日野は、規格に合わない燃料を使うと、燃料フィルターの早い目詰まりや、燃料装置・排出ガスの浄化装置の故障につながるおそれがあるとして、JIS規格の燃料を使うよう求めています。
冬の前の部品の交換、お探しします
燃料フィルター(エレメント)など、冬を迎える前に替えておきたい部品を、車検証の写真(または車台番号)からお調べします。
凍ってしまったときの対処
JAFは、軽油が凍ったと思われるときの対処を次のように案内しています。
- 点検が必要なので、自分の安全を確かめたうえで、JAF(ロードサービス)を呼ぶ。
- 整備工場や暖かい場所に移動して、燃料を解凍する。
- そのまま寒冷地にとどまる場合は、寒冷地用の軽油を給油する必要がある。
セルを何度も長く回し続けると、バッテリーが上がってしまうことがあります(バッテリーが上がったときはトラックのバッテリー上がりの記事へ)。軽油が凍ったと思ったら、無理にエンジンをかけようとせず、プロに任せましょう。燃料が凍ったあとは、燃料フィルターなどが詰まっていないか、整備工場で点検してもらうと安心です。
冬の前に燃料フィルターを確かめる
燃料フィルター(燃料フィルターエレメント)は、燃料の中の砂や金属粉、カーボン、繊維などの異物を捕らえ、水分を分けて、インジェクターなどの燃料噴射装置を守る部品です。
日野の整備情報によると、最近のディーゼルエンジンは燃料噴射の高圧化・高精度化が進んでいて、燃料系のわずかな異物やフィルターの目詰まりも大きなトラブルの原因になります。交換時期を過ぎたまま使い続けると、
- フィルターが目詰まりして、エンジンの出力が足りなくなる
- 異物を捕らえる働きや水分を分ける働きがなくなり、インジェクターなどの寿命を縮める
- 燃料のシール部や燃料パイプが傷み、燃料漏れやエンジンストールにつながる
おそれがあります。交換時期は車によって違うので、取扱説明書やメンテナンスノートで確かめてください。燃料に水が混ざると、錆によるインジェクターの動きの悪化や、失火によるエンストの原因にもなります。水抜きのしかたも取扱説明書で確かめておきましょう。インジェクターの汚れについてはインジェクタークリーナーの記事にまとめています。
トラックヒーローを運営する小林商会は、バス・トラック部品の専門商社です。品番がわからなくても、車検証の写真(または車台番号)があれば、燃料フィルターなど、お使いの車に合う部品をお調べします。
参考にした資料
- 日野自動車「冬季使用燃料に対するお願い」(No.20160916) https://www.hino.co.jp/ts/after_service/for_customer/pdf/20160912_5.pdf
- 日野自動車「燃料系フィルタの定期メンテナンスと使用燃料についてのお願い」(No.20241107) https://www.hino.co.jp/ts/vehicle_maintenance/pdf/20241107.pdf
- JAF「寒冷地でディーゼルエンジンが不調の原因と対処方法」 https://jaf.or.jp/common/car-trouble-qa/engine-strange/driving/faq73
- 石油連盟「軽油の品質」 https://www.paj.gr.jp/statis/faq/71
よくある質問
- Q. 軽油は何度で凍りますか?
- A. 軽油の種類によって違います。日野の整備情報では、凍結温度の目安を、特1号は+5℃以下、1号は-2.5℃以下、2号は-7.5℃以下、3号は-20℃以下、特3号は-30℃以下としています。JAFによると、寒冷地以外で売られている特1号〜2号の軽油は、-5℃程度で凍結し始めます。
- Q. 軽油が凍ったらどうすればいいですか?
- A. JAFは、まず自分の安全を確かめたうえでJAFを呼ぶよう案内しています。整備工場や暖かい場所に移動して解凍し、そのまま寒冷地にとどまる場合は、寒冷地用の軽油を給油する必要があります。
- Q. 寒冷地へ行く前に満タンにしておいたほうがいいですか?
- A. いいえ。日野は、寒冷地へ行くときはできるだけ早い段階で現地のガソリンスタンドで給油し、タンクの中を3号または特3号軽油に替えるよう案内しています。暖かい地域の軽油がタンクに多く残っていると、3号・特3号を入れても目安より高い温度で凍ることがあります。
- Q. フェリーで北海道へ行くときは?
- A. 日野の整備情報では、乗船前に燃料の残りを最低限に調整し、現地に着いてから3号または特3号軽油を給油するよう案内しています。
- Q. 燃料フィルターも冬に関係ありますか?
- A. 燃料フィルターは、燃料の中の異物を捕らえ、水分を分けて、インジェクターなどを守る部品です。交換時期を過ぎて目詰まりすると、出力不足やエンジンストールにつながるおそれがあります。冬を迎える前に、取扱説明書やメンテナンスノートの時期どおりに交換されているか確かめておきましょう。
燃料フィルター(エレメント)もお探しします
冬の前の燃料フィルターの交換や、凍結のあとの点検で必要になる部品を、車検証の写真(または車台番号)からお使いの車に合うものをお調べしてご連絡します。
お電話でも承ります(通話料無料)0120-01-5884 平日9:00〜17:30(土日祝日・年末年始を除く)
部品以外のことはお問い合わせフォームからどうぞ。