トラックのオイル交換の時期|距離・期間・エンジン稼働時間の目安と、DPF車のオイル(DH-2)の選び方
この記事のポイント
- 交換時期は「距離・期間・エンジン稼働時間」のどれかが先に来たとき。日野の大型車(E13C・A09C)なら1年または45,000kmごとなど、車とオイルで違うので取扱説明書で確認を。
- アイドリングやPTOの使用が長い車、高回転・高負荷が多い車はシビアコンディション。距離に関係なく早めに交換し、オイルフィルターも一緒に替えます。
- DPF付きの車は、灰の元になる金属分を抑えたDH-2などメーカー指定のオイルを。毎日の点検ではオイルレベルゲージで量を見ます。
トラックのエンジンオイルは、乗用車よりずっと長い距離で交換します。そのぶん「何kmで替えればいいのか」「アイドリングが多いけれど距離どおりでいいのか」と迷いやすい部品でもあります。この記事では、日野自動車が公表している整備情報と、国土交通省に届け出られたリコールの資料をもとに、トラックのオイル交換の時期の目安、早めに替えたほうがよい使い方、オイルの量の点検、DPF付きの車のオイルの選び方をまとめました。
オイル交換をおこたるとどうなるか
エンジンオイルには、潤滑・冷却・密封・清浄分散・防錆といった役目があります。エンジンを使うほど、燃焼でできるすすなどで汚れて劣化し、性能が落ちていきます。
日野は、オイル交換をおこたると、燃費の悪化や部品の故障、最悪の場合は路上での故障や車両火災に至るおそれがあるとしています。実際に、オイルの劣化によって次のような損傷が起きた事例を示しています。
- ピストンやクランクメタル(コンロッドメタル)の焼き付き
- シリンダーライナーの破損、コンロッドの破損
- 排ガス浄化装置の詰まり
国土交通省に届け出られたリコール(三菱ふそう、2019年4月)でも、大型トラック・バスで、使い方が厳しい場合に設定した期間より早くオイルが劣化し、エンジンの換気装置(オイルミストセパレーター)にスラッジ(すすやオイルの劣化物)がたまって詰まり、最悪の場合エンジンが壊れるおそれがあるとされました。不具合は240件、火災が2件ありました。使い方に合った時期にオイルとフィルターを交換することが、エンジンを守るいちばんの基本です。
交換時期の目安(距離・期間・稼働時間)
トラックのオイル交換の時期は、メーカー・エンジン・使うオイルの銘柄によって違います。ここでは、日野が整備情報で公表している主なエンジンの目安を例として紹介します(日野純正オイルを使った場合)。
| 車(エンジン) | 標準のオイル | 上位のオイル(ePRO-extra plus) |
|---|---|---|
| 大型 プロフィア(E13C・A09C) | 1年または45,000kmごと | 1年または80,000kmごと |
| 中型 レンジャー(J07E・J08E) | 25,000kmごと | 40,000kmごと |
| 小型 デュトロ(N04C) | 半年または15,000kmごと | |
- 距離・期間・稼働時間のどれかが先に来たら交換します。あまり走らない車でも、期間が来たら交換が必要です。
- オイルフィルターも、オイル交換のときに一緒に交換します(主なエンジンでは交換時期が同じです)。
- 新車は、初回の1,000km点検でも交換します。
- いすゞ・三菱ふそう・UDトラックスの車や、ここにないエンジンは、お使いの車の取扱説明書(定期交換の欄)か販売会社で確かめてください。最近の車は、交換の時期が来るとメーター内の表示で知らせるものもあります。
表のとおり、同じエンジンでも、使うオイルによって交換までの距離が大きく変わります。オイルを選ぶときは、値段だけでなく、車に合った規格か、どのくらいの距離まで使えるかも見ておきましょう。
お使いの車に合うオイル、お調べします
車検証の写真(または車台番号)を送っていただければ、指定のオイルの規格や粘度、オイルフィルターなどの部品をお調べします。
早めに交換したいシビアコンディション
同じ距離を走っても、使い方によってオイルの傷み方は大きく違います。日野は、次のような使い方(シビアコンディション)では、走行距離に関係なく早めに交換するよう案内しています。
- エンジンを高回転・高負荷で多く使う
- アイドリングを長時間行う
- オイルが著しく汚れている、燃料や水が混ざっている
アイドリングが長い車は「エンジン稼働時間」で
走った距離に対してアイドリングの時間が多い車は、距離のわりにオイルが早く劣化します。日野は、エンジン稼働時間のうちアイドル時間が50%以上の大型車(E13C・A09C)について、距離ではなくエンジン稼働時間(アワーメーター)を目安にするよう案内しています。
| 日野の大型車(E13C・A09C)でアイドル時間が50%以上のとき | 交換の目安 |
|---|---|
| 標準のオイル | 1年または900時間運転ごと |
| 上位のオイル(ePRO-extra plus) | 1年または1,600時間運転ごと |
冷凍機付きの車や、ダンプ・ミキサー・塵芥車・コンクリートポンプ車などPTO(エンジンの力で荷台や装置を動かす仕組み)を使う車は、ふつうの車よりエンジン稼働時間が多くなります。走行距離だけで判断せず、メーターでエンジン稼働時間を確かめてください。
毎日の点検でオイルの量を見る
エンジンオイルは走るにつれて少しずつ減ります。減り方は使い方で違うので、運行前の点検でオイルレベルゲージを使って量を確かめます。
- 平らな場所に停めてエンジンを止め、しばらく置いてからレベルゲージを引き抜きます。
- 付いているオイルをふき取り、奥まで差し込みます。
- もう一度引き抜き、オイルの位置を見ます。
- 下限(LOW・MIN)より少ない:オイルを補給します。足りないまま走るとエンジンが壊れるおそれがあります。
- 点検用の上限を超えている:オイルを交換します。燃料が混ざって量が増えていることがあり、そのまま使うと意図せずエンジンの回転が上がったり、エンジンが壊れたりするおそれがあります(いすゞ・日野とも注意を呼びかけています)。たびたび超えるときは、販売会社や整備工場で点検を受けてください。
補給するときは、給油用の上限を超えないようにします。レベルゲージの目盛りの形は車種によって違うので、取扱説明書の図で確かめてください。
DPF車のオイルの選び方(DH-2)
トラックのエンジンオイルには、日本の自動車規格(JASO)によるディーゼルエンジン用の規格があります。
| 規格 | できた年 | 主な対象 |
|---|---|---|
| DH-1 | 2000年 | 長期規制までの、DPFが付いていないエンジン |
| DH-2 | 2005年 | 新長期規制以降の、DPFなど排ガス浄化装置付きのエンジン。灰の元になる金属分(硫酸灰分)や硫黄分に上限がある |
| DH-2F | 2017年 | DH-2の性能に省燃費性を加えたもの |
DPFにたまったすすは再生で燃やせますが、エンジンオイルが燃えてできる灰(アッシュ)は燃えずに残ります。灰の元になる金属分の多いオイルを使うと、DPFが早く詰まる原因になります。DPF付きの車は、メーカーが指定するDPF対応のオイル(DH-2など)を使ってください。DPFの詰まりと洗浄についてはDPFの詰まりと洗浄の記事、再生についてはDPFの再生の記事にまとめています。
粘度(10W-30、10W-40など)も、車の指定に合わせます。数字の前半(Wの前)は寒いときの流れやすさ、後半は高温での粘りを表しています。
ディーゼルエイドのエンジンオイル「クオリテ」
トラックヒーローを運営する小林商会のブランド「ディーゼルエイド」には、ディーゼルエンジン向けのエンジンオイルクオリテ(Qualite)があります。
- 100%合成油(原油から不純物をできるだけ取り除き、成分をそろえたオイル)
- 粘度は10W-40
- 200Lのドラム缶入り。整備工場や、自社で整備する運送会社向けです(会員の方のみご購入いただけます)
お使いの車の指定(規格・粘度)に合うかどうかは、車検証の写真(または車台番号)を送っていただければお調べします。オイル交換と一緒に替えるオイルフィルターなどの部品も、品番がわからなくてもお探しします。
参考にした資料
- 日野自動車「エンジンオイルの定期交換をきちんと守りましょう!」(整備情報 No.20161114) https://www.hino.co.jp/ts/vehicle_maintenance/pdf/20161116_2.pdf
- 日野自動車「走行距離に対してアイドル時間が多い車両は早めのエンジンオイル交換をお願いします」(整備情報 No.20221019) https://www.hino.co.jp/ts/vehicle_maintenance/pdf/20221021_3.pdf
- 日野自動車「エンジンオイル量の日常点検について」(整備情報 No.20190206) https://www.hino.co.jp/ts/vehicle_maintenance/pdf/20190208_2.pdf
- いすゞ自動車「日常点検時にエンジンオイル量を確認してください」 https://www.isuzu.co.jp/newsroom/assets/pdf/20180131_01.pdf
- 国土交通省 リコール届出(届出番号4482、三菱ふそうトラック・バス、2019年4月16日) https://www.mlit.go.jp/common/001285548.pdf
- ENEOS テクニカルレビュー「JASO DH-2F対応超省燃費ディーゼルエンジン油の開発」 https://www.eneos.co.jp/company/rd/technical_review/pdf/vol60_no01_07.pdf
よくある質問
- Q. トラックのオイル交換は何kmごとですか?
- A. 車種・エンジン・使うオイルによって違います。日野の整備情報では、例えば大型のプロフィア(E13C・A09Cエンジン)は1年または45,000kmごと(日野純正の上位のオイルなら1年または80,000kmごと)、中型のレンジャー(J07E・J08E)は25,000kmまたは40,000kmごと、小型のデュトロ(N04C)は15,000kmまたは半年ごとが目安です。必ずお使いの車の取扱説明書で確かめてください。
- Q. オイルフィルターも毎回交換しますか?
- A. 日野の整備情報では、オイル交換のときはオイルフィルター(オイルフィルタ)も同時に確実に交換するよう案内しています。主なエンジンでは、オイルとフィルターの交換時期は同じです。
- Q. アイドリングが長い車はどうすればいいですか?
- A. 日野は、走った距離に対してアイドリングの時間が多い車(エンジン稼働時間のうちアイドル時間が50%以上)は、距離ではなくエンジン稼働時間(アワーメーター)を目安に早めに交換するよう案内しています。冷凍車やダンプ・ミキサーなどPTOを使う車は、稼働時間が多くなりがちです。
- Q. DPF付きの車にはどのオイルを使えばよいですか?
- A. メーカーが指定するDPF対応のオイルを使います。JASOの規格では、DPF付きの車(新長期規制以降)向けに、灰の元になる金属分などを抑えたDH-2(2005年制定)があり、省燃費の性能を加えたDH-2Fもあります。指定と違うオイルを使うと、DPFに燃えない灰がたまりやすくなります。
- Q. オイルの量がレベルゲージの上限を超えていたら?
- A. いすゞ・日野とも、点検用の上限を超えていたらオイルを交換するよう案内しています。燃料が混ざって量が増えていることがあり、そのまま使うと意図せずエンジンの回転が上がったり、エンジンが壊れたりするおそれがあります。たびたび超えるときは、販売会社や整備工場で点検を受けてください。
エンジンオイルのこと、お気軽にご相談ください
お使いの車に合うオイルの規格や粘度、ディーゼルエイドのエンジンオイル「クオリテ」のことなど、車検証の写真(または車台番号)があればお調べしてご連絡します。
お電話でも承ります(通話料無料)0120-01-5884 平日9:00〜17:30(土日祝日・年末年始を除く)
部品以外のことはお問い合わせフォームからどうぞ。